Data Binding LibraryでHello World
Data Bindingが動作する最低限のコードを書いてみましょう。Data Bindingを利用するまでに次のステップを踏みます。
- Layout XMLを作成し、Data Binding用の記述を行う
- Data Bindingに利用するデータとなるクラスを作成する
- 生成されたBindingクラスを確認する
- DataBindingUtilクラスを使ってレイアウトを初期化する
- Bindingクラスに対してバインドするデータをセットする
まずはLayout XMLを作成します。ここでは「activity_main.xml」を作成することとします(リスト4)。
リスト2.4 activity_main.xml
<layout xmlns:android="http://schemas.android.com/apk/res/android">
<data>
<variable name="article" type="com.sys1yagi.sample.entities.Article"/>
</data>
<LinearLayout
android:layout_width="match_parent"
android:layout_height="match_parent"
android:orientation="vertical"
android:padding="16dp">
<TextView
android:text="@{article.title}"
android:layout_width="wrap_content"
android:layout_height="wrap_content"/>
</LinearLayout>
</layout>
いくつか見慣れない要素がありますね。Data Bindingの為に追加された要素と役割を表1に示します。
表2.1: Data Binding Libraryの為の要素
|名前|説明| |layout|Data Binding Libraryで処理をするレイアウトであることを示すための要素です| |data|レイアウト内で利用する変数を宣言するための親要素です| |variable|変数を宣言する要素です。name属性で変数名を、type属性で型を定義します|
variable要素で宣言した変数はレイアウト上の属性値で利用できます。
リスト2.5 変数を利用する例
android:text="@{article.title}"
リスト5は変数articleのtitleプロパティをandroid:textにセットするという意味になります。
次にvariable要素で宣言していたcom.sys1yagi.sample.entities.Article
クラスを作成しましょう(リスト6)。これは単純なデータを表すクラスです。id、title、description、urlがプロパティです。プロパティはpublicであるかJava Beansのメソッドの命名規則に沿ったgetter、setterを持っている必要があります。Android Studioのジェネレータでgetter、setterを生成するとよいでしょう。
リスト2.6 Article.java
public class Article {
long id;
String title;
String description;
String url;
// このメソッドはバインド処理時に使われる
public String getTitle() {
return title;
}
// コンストラクタや他のgetter、setterは省略
}
この時点でactivity_main.xmlに対応するBindingクラスが生成されており、利用が可能になります。今回のケースだと次のクラスが生成されているはずです。
com.sys1yagi.sample.databinding.ActivityMainBinding
ActivityMainBindingクラスにはactivity_main.xmlで定義したViewや変数、変数のgetter、setter、バインドの為のロジックなどが含まれています。ActivityMainBindingクラスを使ってレイアウトを初期化し、必要な値をセットするとバインドが実行されます。
リスト2.7 MainActivity.java
public class MainActivity extends AppCompatActivity {
@Override
protected void onCreate(Bundle savedInstanceState) {
super.onCreate(savedInstanceState);
ActivityMainBinding binding =
DataBindingUtil.setContentView(this, R.layout.activity_main);
Article article =
new Article(1, "Hello World!", "description",
"http://techbooster.jpn.org/");
// ここでバインドのロジックが実行される
binding.setArticle(article);
}
}
リスト7ではDataBindingUtilクラスを使ってActivityMainBindingクラスのインスタンスを作成しています。DataBindingUtilクラスはData Binding Libraryが提供するユーティリティクラスです。DataBindingUtilクラスのsetContentView()メソッドはBindingクラスの生成とActivityクラスのsetContentView()メソッドをラップしてくれます。activity_main.xmlではarticleという変数を宣言していました。これに対応してActivityMainBindingクラスにはarticleのgetter、setterが生成されています。setArticle()を使ってArticleクラスのインスタンスを渡すと、バインドのロジックが実行されます。アプリケーションを実行すると、TextViewに"Hello World!"という値がセットされた状態で表示されるはずです。
Data Bindingの動作に必要な実装は以上です。このようにData Bindingを利用するとView操作にまつわる部分をBindingクラスに委譲できます。Layout XML側にViewとデータの関係を記述することで、コード側ではデータの操作にのみ集中できるようになるわけです。作成した例ではBindingクラスに直接データを渡していますが、後述する自動更新の仕組みを利用するとViewへのデータの反映をさらに抽象化でき、複雑なView操作から開放されます。